マーケティング用語でポジショニングという言葉を頻繁に目にする機会があるけれど、どのような意味を持っているのか分からないという方はいないでしょうか。
そのような方向けにポジショニングについてお話していきます。
ポジショニングとは、顧客にとって販売・提供する商品・サービスが他の商品・サービスに取って代わることのないできない状況を作り出すことです。
ポジショニングが適切にされていない場合、目標を達成できない可能性があるので、しっかりと行う必要があります。
目次
1.ポジショニングとは?
まず始めにポジショニングはどのような意味を持っているのか見ていきましょう。
ポジショニングとは想定する顧客に自社の商品・サービスで独自のポジションを取る活動のことです。
これだけだと分かりずらいので、少し詳しく説明していきます。
私たちが商品・サービスを購入しようとした時、一番先に思いつく商品・サービスは何でしょうか?
一番先に頭の中に思いついた商品・サービスを提供している会社は適切にポジショニングできているということになります。
例えば、Aさんに日本でテーマパークと言えば、どこを思い浮かべますかと質問して、Aさんは東京ディズニーランドをイメージしたとします。
つまり、Aさんの中でテーマパークというカテゴリーでディズニーランドは一番のポジションが取れているということになります。
このように商品・サービスが独自のコンセプトを持っている場合、他社の商品・サービスと差別化できるので顧客に選んでもらえる可能性が高まるでしょう。
しかし、商品・サービスが多く思いつく場合は商品・サービスが差別化されておらず、顧客に選んでもらえない可能性が高くなります。
つまり、他社の商品・サービスと価格競争にならず、独自のコンセプトを打ち出せている場合、ポジショニングができているということになります。
ポジショニングはSTP分析の一部
ポジショニングはSTP分析の一部でもあります。
「STP分析」とは市場をセグメント分けし、対象とする市場を選定し、市場の中でどのように商品・サービスを打ち出していくかを決めるマーケティング分析のフレームワークとなっています。
「STP」は「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」の頭文字をとって名付けられたものです。
「ポジショニング」はSTPの流れの一番最後を飾るもので、ポジショニングがうまくできているかでマーケティング戦略の結果が左右されます。
以下がポジショニングの位置付けです。
セグメンテーションについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧下さい。

ターゲティングについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧下さい。

2.ポジショニングマップとは?
ポジショニング分析を行う時に「ポジショニングマップ」を作成することが必要不可欠となります。
以下は一般的なポジショニングマップの例ですが、マーケティング活動を行っている人であれば一回は見たことがある人もいるでしょう。
ポジショニングマップとは市場でどの立ち位置を取りにいくかを決めるためのマップです。
ポジショニングマップでは「自社と他社」、「自社製品と他社製品」等、様々な軸で比較して、相対的な位置付けを行っていきます。
他社や他社製品・サービスと比較してもここが一番と思ってもらえたら、ポジショニングが取れていると言えます。
上記のマップで自社が製品・サービスを今後どのようの展開していくか考えてみましょう。
A社、B社、C社はそれぞれ特徴があり、マップ上に散らばっていますが、「フォーマルと低価格」と「カジュアルと低価格」のカテゴリーが空いています。
上記であげたカテゴリーであれば、一番のポジションを取れる可能性があるなという具合で考えます。
このように競合他社、競合製品・サービスがどこに位置付けられて、自社、自社製品・サービスはどのようにポジションを取るかを考えます。
マップの軸決めに迷ったときは、、
マップの縦軸と横軸の組み合わせは様々であり、何を軸に設定するか迷う場合もあるでしょう。
その場合、ポジショニングマップを4Pに沿って軸を決める方法をご紹介します。
※4Pとは製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)のことです。
製品(Product)
ポジショニングマップの軸として製品の品質、デザイン、ブランド名等を使用します。
具体的な軸として、「高品質と低品質」、「デサイン性が高いとデザイン性が低い」、「認知度が高いと認知度が低い」等が考えられますが、製品を通して顧客のニーズを満たせる軸を設定するといいでしょう。
価格(Price)
市場での販売価格をポジショニングマップの軸として使用します。
具体的な軸として、「高価格と低価格」が考えられますが、顧客が価格と製品価値の整合性がとれているか、企業にとって採算がとれる価格であるか等を考えて軸を設定するといいでしょう。
流通(Place)
ポジショニングマップの軸として流通経路、店舗の立地等を使用します。
具体的な軸として、「店舗販売とネット販売」、「立地条件が良いと立地条件が悪い」等が考えられますが、想定する顧客層に確実に製品を届けることができる、販売することができる流通形態、販売形態になっているか等を考えて軸を設定するといいでしょう。
販売促進(Promotion)
広告媒体をポジショニングの軸として使用します。
具体的な軸として、「テレビCMとインターネット広告」等が考えられます。
昨今、インターネットが普及し、企業でもインターネット広告を打ち出すことが増えてきたので、テレビCMとインターネット広告の比重を軸で表すといいかもしれません。
この軸では想定する顧客層にどれくらい認知され、販売に至ったかが重要になります。
3.ポジショニングマップ作成時の注意点
ポジショニングマップを作成する時に一番難しいのが軸選びです。
軸選びを間違えると正しいポジショニングマップを作成できないので、注意しましょう。
それではポジショニングマップ作成時の注意点を見ていきましょう。
相関性が高い軸を設定しない
縦軸と横軸を相関性が高い要素で設定しないことが重要になります。
相関性が高い例として、価格と性能が挙げられ、高性能であれば高価格であることが多く、価格と性能は比例しています。
そのため、相関性が低く、重要度が高い軸を設定しましょう。
購買決定要因を重要視する
購買決定要因とは顧客が製品やサービスを購入する時に重要視する要因のことです。
競合他社や競合製品・サービスと差別化しようと、顧客のニーズを満たしていない要因を選んでしまうケースがあります。
このような要因を軸に選ぶと、確かに一番のポジションを取ることはできますが、購買決定要因にはならないので注意が必要です。
アンケート調査等で購買決定要因を調べた上でポジショニングマップを作成すると効果的でしょう。
競合他社がとらないポジショニングを設定する
ポジショニングマップを作成する時、競合他社が存在しないポジションをとることが理想です。
競合他社が存在しないポジションをとることで、自社の優位性を確立しやすくなります。
また、競合他社が存在しないポジションかつ自社や自社製品・サービスが優位になれる軸を設定するとさらにいいでしょう。
4.ポイント
- ポジショニングとは想定する顧客に自社の商品・サービスで独自のポジションをとる活動のことです
- ポジショニング分析を行う時はポジショニングマップを使用するといいでしょう